デリケートゾーンかゆみがある?
陰部(デリケートゾーン)とは、男性でいう陰茎(おちんちん、ペニス)や陰嚢(キンタマ・睾丸)などの男性器、女性で言う膣などの女性器を指します。陰部にかゆみを感じることはありますが、続く場合には何かの疾患のサインかもしれません。また、お風呂上りなど体温上がった時にかゆみが出るケースも疾患が隠れている可能性があります。陰部はデリケートゾーンと呼ばれているだけに、病院に受診するのを恥ずかしく思う方も多いですが、性感染症など重症化すると様々な弊害がでるものもあるため、不安な方は早めに受診するようにしましょう。
かぶれによるかゆみ
かぶれは皮膚が外部からの刺激で炎症を起こしている状態で、かゆみが生じます。皮膚は3層構造になっているのですが、皮脂や汗、温熱、乾燥、アレルギーなど、防ぎきれない刺激があるとかぶれてしまうことがあります。陰部がかぶれる原因としては、女性は生理中の経血の蒸れやナプキンなどによる接触が原因で起こることがあり、男性は下着による蒸れやコンドームに反応したアレルギーが原因で起こるときがあります。
感染によるかゆみ
「性感染症などの感染症も、細菌やウイルスが繁殖することによってデリケートゾーンにかゆみが生じてしまいます。粘膜は皮膚に比べて細菌やウイルスが入り込みやすく、汚れが溜まりやすく高温多湿になりやすいデリケートゾーンは繁殖するのに最適な環境です。細菌やウイルスは性行為中以外にも、公共の浴場で感染してしまうこともあります。他にも体内に常在菌として潜んでいることもあります。しっかりと洗浄し清潔に保っておく必要があります。また、できるだけ蒸れないように下着などを工夫することも重要です。
性器ヘルペス
性器ヘルペスウィルスは、単純ヘルペスウィルス1型または2型の感染による感染症です。性器に浅い潰瘍性病変または水疱性病変を形成する疾患です。一度感染したウィルスは知覚神経から神経節に潜伏し、疲労や性行為などの刺激で皮膚や粘膜で病変を形成します。皮膚病編の他に発熱やリンパ節の腫脹を伴うこともあり、稀に仙骨の神経障害から排尿や排便困難となることがあります。
性器クラミジア
クラミジアは日本国内で起こる性感染症の中でも特に多く、陰部や尿道のかゆみや違和感、排尿時の痛みなどの症状が出ます。他にも乳白色の膿や分泌物が出ることもありますが、どれも症状が弱く自覚がないことも多いです。悪化した場合、合併する疾患は男女別のもので、男性は精巣上体炎や尿道炎を、女性は不妊症の原因となる子宮頸管炎などを起こします。
淋病
淋病は男性に特に強い症状が出やすいことで知られています。主な症状としては尿道から白く粘り気のある膿などの分泌液が大量に出ます。他にもかゆみや違和感、激しい痛みを伴います。
膣トリコモナス症
膣トリコモナス症とは名前の通り女性に多く見られる病気で、悪臭のあるおりものの増加や激しいかゆみが主な症状として出ます。「膣トリコモナス」という原虫による感染症で、性行為以外にもタオルやシーツなどから感染することが稀にあります。
性器カンジダ症
「カジンダ」というカビによる感染症で、人間の体内にもともと常在菌として生息しています。感染経路がわからないことが多く、性行為以外にも様々な経路から体内に侵入してきます。男性は無症状のことも多いですが、女性はかゆみやヨーグルト上のおりものが出てくることがあります。感染しても必ず発生するというものではなく、疲れなどで免疫が落ちている時に繁殖して発症することが多いです。
いんきんたむし
10代後半から20代の男性に多く見られる感染症の一つで、カビの一種である「白癬菌」によって起こります。主な症状としては感染すると強いかゆみにおそわれます。性行為以外にも、感染者の皮膚からはがれた角質に振れただけで感染することがあります。白癬菌の中でも数種類に分かれており、ペットの毛に感染するカビもあるので、感染したペットを抱いてしまうと知らず知らずのうちにかゆみや失神などの症状が出ることがあります。
亀頭包皮炎
亀頭包皮炎は男性の亀頭部分に細菌やカンジタが感染することで炎症を起こす病気です。感染経路はそれぞれ異なり、カンジタの場合は主に性行為によって感染し、細菌は陰部の洗いすぎや下着などの擦れが原因で感染します。どちらもかゆみや違和感、赤身や痛み、皮むけなどの症状が現れ、カンジタは嫌なにおいをし、白いカスが溜まってしまいます。
毛ジラミ症
男女ともにかゆみが起こる感染症で、「毛ジラミ」という吸血昆虫が陰毛に寄生することで発症します。性行為に限らず、シーツやタオルなどから感染することがあります。
陰部のかゆみや違和感の検査や治療について
感染症には多くの種類があり、問診や視診にて症状を確認して原因を確かめ、適した治療方法を行う必要があります。性感染症の場合は、パートナーなど2次感染して拡大するリスクもあるので、医師の指示に従って理療するようにしましょう。また、自身に見つかった場合にはパートナーにも感染している可能性もあるので、一緒に検査するようにしてください。治療後も再発などのリスクもあるので、再検査も行うようにしてください。