顕微鏡下精索静脈瘤手術(低位結紮術)

顕微鏡下精索静脈瘤手術(低位結紮術)について

精巣はもともと腹腔内にあり、大動脈から直接分岐した精巣動脈によって血流が供給され、精巣から心臓に戻ってくる血流は精巣静脈を通ってきます。精巣静脈には、血流の逆流を防ぐための弁が備わっていますが、この弁が何らかの原因で機能しなくなると、逆流が生じて精巣の静脈が蛇行・拡張し、瘤のような状態となります。このことを、精索静脈瘤と呼んでいます。
当院では、顕微鏡下精索静脈瘤手術(低位結紮術)を行うことで、精巣静脈を縛って結び、精巣に逆流する血管を遮断して根治治療を目指します。おおよそ60~70%の方は3カ月~半年で精液所見が改善されるようになります。また、最新の研究によって、精子の数や運動量に変化はなくても、DNAにダメージを受けた精子の数が術後に少なくなるということが分かっています。


手術について

顕微鏡下精索静脈瘤手術(低位結紮術)は、体の表面に近い部分の手術であるため、局所麻酔のみで行うことができます。術後も自力歩行が可能なため、日帰りでの手術が可能で、患者様のご負担を最小限に抑えることが可能です。

  1. ももの付け根部分である鼠径部を3cmほど切開し、精索という精巣の血管やリンパ管、精管をなどが集まった束を捉えます。
  2. 手術用の顕微鏡を使用して、手術部位を拡大して注意深く確認します。
  3. 顕微鏡で静脈だけ(個人差はありますが10~15本)を分別して糸で結紮することで切断します。静脈だけを分別することで、精管や動脈、リンパ管については温存させることが可能です。なお、動脈は超音波血流計(速い血流を検出する機械)を用いて確認し、温存します。
  4. すべての静脈を結紮し終えたら切開場所を閉じますが、縫合時には体に溶け込む素材の糸を使いますので、後々の抜糸は不要となります。

手術方法と合併症

手術方法と合併症顕微鏡下で患側の鼠径部を2−3cmほど切開し、精索という血管やリンパ管などの束を体外に引き出します。そして、顕微鏡で静脈だけ(個人差はありますが10~15本)を分別して糸で結紮することで切断します。静脈だけを分別することで、精管や動脈、リンパ管については温存させることが可能です。
手術の所要時間は血管の数などにもよりますが90分程度で終わり、縫合時には体に溶け込む素材の糸を使いますので、後々の抜糸は不要となります。
術後については、多少の痛みはありますが軽度です。通常通り動いたり食事を取っていただいて構いません。翌日からシャワーを浴びていただくことも可能です。なお、手術の合併症として、患部の出血、感染症への罹患、陰嚢水腫、静脈瘤の再発などがありますので、そのような症状が現れた際はすぐに医師に相談するようにしてください。

料金

術前検査費用 22,000円
予約金 33,000円
手術料金(片側) 209,000円

手術の適応について

精索静脈瘤の手術適応は、Grede2以上で、精子の量が少ない、運動率が悪い、DFIが高いなど精液所見が悪い場合、人工授精や体外受精、顕微授精を行なってもなかなか妊娠しない方になります。ただし、Grade1であっても手術により精液所見の改善、人工授精や体外受精といった治療の成績が改善することが知られています。手術の適応については一度ご相談ください。また、痛みが強く手術を希望される方に対する手術も行なっております。

よくある質問

手術はどのように行いますか?

精巣に血液が逆流しないように、静脈を切る手術を行います。

術後は入院を伴いますか?

日帰りの手術を行うため入院は不要です。

精子の状態は改善されますか?

治療の効果がわかるようになるには約3カ月かかると言われています。精子は精巣の中で74日間かけて作られ、14日間かけて射出されます。なお、治療をしたからといって必ずしも精子の状態が良くなるとは限りませんが、精子の数や運動率、精子DNA損傷率の低下により治療成績が改善することが知られています。

手術の所要時間はどれくらいですか?

血管の数など個人差はありますが、約60分〜90分程度で終了します。

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