残尿感の起こる疾患の治療
急性膀胱炎
急性膀胱炎は細菌感染が原因で起こる疾患です。頻尿、残尿感、排尿時痛が典型的な症状です。抗生物質を用いた薬物療法が中心になりますが、再発を繰り返すことが多く、症状が緩和してもしばらくは治療を続ける必要があります。再発リスクの原因として、冷えや尿意の我慢、性器の過剰な洗浄、水分不足などがあります。
神経因性膀胱
神経因性膀胱とは疾患やケガなどによって脳や神経が傷ついてしまい、排尿に関する指令が上手く伝わらなくなっている状態です。実際には残っていても、あまり自覚がないこともあります。まずは超音波検査などで膀胱内の尿量を調べ、原因疾患の治療を行います。まずは内服薬による治療を行いますが、治療を行っても100ml以上の残尿がある場合にはカテーテルを用いて治療を行うこともあります。
骨盤臓器脱
骨盤臓器脱は女性に多く見られる疾患です。膀胱の位置が通常の位置からずれてしまうことで、尿を出し切ることができず、残尿量が増えてしまうことがあります。骨盤の周りには強靱な筋肉や腱で構成された骨盤底筋群があり、通常時は腹部臓器が落ちてしまわないように支えています。しかし、ケガや加齢、妊娠出産で大きなダメージを受けることで、腹部臓器が腟に落ち込んでしまうことを骨盤臓器脱と言います。状態によって治療法が異なり、状態が軽度であればトレーニングなどの運動療法で改善が見込めます。ただし、悪化している場合は手術を検討することもあります。
過活動膀胱
過活動膀胱の場合には少しでも尿が溜まると我慢できないほどの尿意を感じてしまいます。膀胱に尿をためる機能が傷害されることにより残尿感や頻尿といった症状が出現します。治療法としては薬物療法が有効で、並行で骨盤底筋群や膀胱のトレーニングもお勧めします。また、少し尿意を我慢してみたり、水分摂取量を調整したりすることでも改善が見込めます。